研究医を志望する方へ

研究医とは

医師は臨床医研究医の2つのタイプに分けられます。研究医は患者さんの診断・治療と並行し、研究機関や病院にて医学研究を行う医師のことを指します。医学はここ数十年で飛躍的に進歩し救える命が増えてきた一方、診断出来るものの治療法がない病気が増えてきました。治療法確立のため、医学部に入学し皆様の知恵を活用してほしいと思います。
面接対策にもなりますので、以下ご一読ください。

研究医のキャリアプラン

研究医は以下3つが主流です。

①編入4~6年→大学院4年→研究医 計8~10年
②編入4~6年→初期研修2年→大学院4年→研究医 計10~12年
③大学独自のMD-PhDコースを受講(時間が短縮できる)

編入を目指す方は、20代後半〜30代後半がメイン層かと思われます。現在の年齢を踏まえて、研究医を志望動機にする場合、何歳で研究医になれるのかをしっかり理解しておくことが大事です。圧迫面接では「研究者になれる頃、何歳になるかわかっているか」などの質問をされる場合があります。自分のキャリアプランを真剣に考えていることが編入合格の一助になります。

医学研究の重要性

我々に何が出来るか

医学は物理学や化学などと異なり、患者一人一人全て異なり、90%の人に効果がある治療法が10%には効かないといったことが一般的です。最も広く行われている治療法でさえ、それが目の前にいる患者さんに効くかどうかはやってみなくてはわかりません。
しかし、医学研究が進み、人体の働き、疾患の原因が分かってきたことで、より多くの人に効果がある治療法が開拓されてきました。さらに、遺伝子などのテーラーメイド医療によりその治療法が効くかどうかが事前にわかり、無意な苦痛をなるべく下げることにもつながり始めています。
このことから、臨床医だから研究は分からなくていい、とは絶対に言えません。たとえ自ら研究に参加していないとしても、患者さんにとって常に最善策を適応するために研究結果を解釈する力は必要不可欠な能力です。面接でも、臨床医だから研究は分からなくていい、という姿勢はお勧めしません。
実際に、医師は皆、生涯教育/継続的専門職教育プログラム(Counting Medical Education/Continuing Professional Development)などにより、自分の専門分野の最新研究についていくことを求められています。

研究の喜び

実際に活躍されている研究者の方にお尋ねしたところ

・世界中で誰も知らないことを自分だけが知っている喜び
・教科書の知見を書き換えたり何らかの形で社会の役に立ったと感じる喜び
・時空を超えて学術的知見を積み重ねる作業に従事していることを実感する喜び

などなど様々なやりがいを見出しています。
研究中はモチベーションを維持することが難しい時もあります。面接では、「あなたの研究は何年後に実を結ぶと思うか」などモチベーションとキャリアプランを訪ねる質問が問われています。

研究手法、基礎から臨床へ

近代生理学の始まりはWilliam Harvey(1578-1657)における血液循環説の提唱とされています。Harveyは研究の中で以下の4点をしっかりと行ったことが評価されています。

① 現象の注意深い正確な観察と記載
② 仮説の設定
③ 仮説の統制された検証(実験的検証)
④ 実験結果に基づいた結論(推察の否定)

また、William Harveyは「どんなに古くから伝えらえたとしても誤りは誤りとして捨て去るのを恥ずべきこととしない」と言い残しています。

これを踏まえて私達に必要なことは以下3点です。

患者さんから学び、仮説を立てること
②実験の手法に再現性があること
教科書が絶対的に正しいという概念を捨て、常に批判的であること

PhDではなく、MD-PhDであることの意義をしっかり理解し、基礎から臨床現場へ、臨床現場から基礎へ橋渡しをしていきましょう。

PhD:博士 MD-PhD:医師かつ博士

臨床試験

医師が研究に参加する一般的な方法は臨床試験です。臨床試験は決められたプロセスを踏む必要があります。実験室の研究に始まり、動物実験で安全性・効果が確かめられたもののみ、臨床試験として以下のような4段階の臨床試験を行われます。

第一相試験
通常、比較的少人数の健康なボランティアを対象として実施され、ボランティアにはその参加に対して、多くの場合お金が支払われます。どのくらいの投薬量で人体に反応が起きるか、人体はその薬をどのように処理するか、人体に有毒または有害な影響があるか否かを判断します。

第二相試験
その薬が治療しようとする疾病にかかった患者の一群を対象として実施されます。ここでの目的は、その薬がその疾病に何らかの有益な効果を示すかどうかと、何らかの有害な副作用があるか否かを判断することです。

第三相試験
大人数の患者へ薬を投与し、当該症状のための別の薬がある場合にはその薬と、あるいはさらにプラセボと比較する臨床試験の段階です。可能であれば、このような試験は「二重盲検法(double-blinded)」、すなわち被験者も担当医も、誰がどちらの薬、またはプラセボを与えられているかわからない方法で実施されます。

第四相試験
その薬が認可、市販されてから行われます。新薬は最初の数年間、市販前の段階では見られなかった副作用について監視されます。さらに、製薬会社は通常、その新薬が処方する医師と服用する患者からどのように思われているかに関心をもっています。

各大学の代表研究

志望大学の代表研究は知っておく必要があります。各大学対策ページに記載していますので、そちらをご覧ください。

被験者の権利

ニュルンベルク倫理綱領(Nuremberg Code)の第一原則は、「被験者の自発的な同意は絶対に必要である」というものです。この原則に続く説明の段落では、さまざまな事項のなかでも、被験者は「十分な理解と啓発に基づく決定を下せるよう、関連する事項について十分な知識と理解をもつべきである」ことを求めています。

インフォームド・コンセントを得るプロセスは、同意書への署名で始まりかつ終わるわけではなく、研究計画とそれへの参加が被験者に意味するすべてのことを、注意深く口頭で説明しなければなりません。さらに被験者には、たとえ研究が始まった後でも、いつでも参加への同意を撤回する自由があり、それによって研究者や他の医師から何か報復を受けたり、彼らの治療に悪影響が及ぶことはないと伝える必要があります。

研究医を目指すならFirstChoice

FirstChoiceは単なる問題演習にとどまることなく、医師としての基盤を植え付け、今後に生きる批判的考察力を見出します。そのために、解答のみならず補足問題・ADVISEに力を入れることで、必要な知識は各問題集にもれなく記載しました。
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